たなつものストーリー 穀物編 〜その2〜

福島県二本松市東和。阿武隈山系中山間地域の特産農産物のひとつにするべく種を撒く。地元で自分が出来ることは何か?

穀物商として持続可能な特産穀物を作ること。
そして農業知らずとも、作り手と一緒に、自分で畑に入る。

「たなつもの」とは「種のもの」の意。

「えごま?それ、じゅうねんだべ?」

地元の人は、「えごま」の言葉を知らず….

【じゅうねん】とは一部の東北地域の方言。

「昔から煎って摺って喰うんだ。じゅうねん喰うと十年長生きするんよ」

栽培一年目、選定した種が…。

オメガ3系同植物である「亜麻仁油」がアメリカ、ヨーロッパで市場が伸びてきていること知り、まずは日本由来であるオメガ3系エゴマに着目。韓国でエゴマ栽培を自分の目で見て、体験してきたことを地元の知り合いの生産者三人に相談し、種を撒いてもらったのが始まりである。

栽培一年目、選定した種が土地に合わず全滅。
あきらめきれず、二年目も同じ生産者へ作付けを説得。

収量はともかく、二年目で福島東和産エゴマが初収穫された。

一方、製品の売り込みはと言うと…。

「えごま?胡麻ですか?」

エゴマというものの認知度がほとんどなく、売り込みに行っても手応えを感じることができなかった。

そんなとき、エゴマ油が体に良いとメディアで放映。少しずつ認知される機能性油のひとつになっていった。

エゴマが収穫され、初搾り。

福島二本松市東和という中山間地域で生産者と一緒に作り、収穫をともに喜び、一緒に酒を飲み交わしながらの会合。

「来年も買い取ってくれるんだべ?作るから頼むよ。」

年々組合員の輪が広まっていった。

平成22年には生産者が200名以上になり、徐々に市場も開拓され、生まれ育った故郷で持続可能な農作物のひとつになった。